商工会議所でお金を借りられる「マル経融資」は、個人事業主や小規模企業の経営改善や支援を目的とした融資制度。
低金利で多額の融資を受けられるメリットが大きい一方、不安なのが審査です。
マル経融資は「甘くて希望通り満額借りられた」「審査落ちして借りられなかった」といったどちらの声も聞かれます。
商工会議所と日本政策金融公庫での審査が必要となり、金融機関とは審査プロセスが異なるため、難易度が分かりにくいのも特徴のひとつ。
本記事ではマル経融資の審査が甘くないのか?審査落ちの原因に迫り、希望の融資を実現する方法について紹介します。
Contents
- 1 マル経融資とは?合計2回の審査が必要な小規模事業者向け融資
- 1.1 マル経融資は誰が申し込み対象?商工会議所への入会は必須でない
- 1.2 資金用途は設備投資から従業員のボーナスもOK!借り換えはNG
- 1.3 マル経融資最大のメリットは貸付条件!担保なし1.20%の低金利で2,000万円まで可能
- 1.4 マル経融資の低金利はどれだけお得?他の借入方法と比較
- 1.5 必要書類の準備は早めが肝心!種類が多いのでミスに注意
- 1.6 経営指導の際商工会議所や担当指導員と良好な関係性を持つ
- 1.7 資金の利用目的を明確にして事業に具体性を持たせる
- 1.8 返済計画書を提出して資金繰りの見通しがたっていると示す
- 1.9 融資したいと思ってもらう為に自社の強みや展望について自信を持ってアピールする
- 1.10 審査で特に重要な決算書・確定申告書は3期以上あると経営の安定性を評価されやすい
- 1.11 赤字決算なら改善の見込みがあると判断できる事業計画書を用意
- 2 マル経融資で審査落ちする原因は?個人の借り入れが原因の場合もある
- 3 マル経融資の申し込みから審査・融資までの流れを解説
- 4 マル経融資の審査期間は約1か月!融資は相談から半年以上かかるのがデメリット
マル経融資とは?合計2回の審査が必要な小規模事業者向け融資
マル経融資とは、地域の商工会議所が申込窓口となる小規模事業者向けの融資制度です。
正式名称は「小規模事業者経営改善資金」で、名前が長いため「経営改善」の経に◯(マル)印を付けて省略したのが「マル経融資」と呼ばれる由来です。
マル経融資の審査は、推薦状を出す商工会議所と実際に融資を行う日本政策金融公庫で合計2回行われます。
申し込み前にチェックしたいのが以下の条件。
- 申込条件にあっているか
- 資金用途が適用範囲か
- 貸付条件は問題ないか
- 必要書類を揃える準備が整っているか
どれか1つでもクリアできないと、審査落ちの原因となります。
マル経融資は誰が申し込み対象?商工会議所への入会は必須でない
マル経融資の対象である小規模事業者とは以下を指します。
従業員20人以下
※宿泊業と娯楽業を除く商業・サービス業は5人以下
※法人、個人事業主とも条件は同じ
例えばカフェや雑貨店、美容サロンなら、従業員5人以下の店舗が適用条件に当てはまります。
ただし、すべての業種で融資が受けられるわけではありません。
以下の業種は、マル経融資だけでなく日本政策金融公庫の融資全般で対象外です。
日本政策金融公庫で融資対象外となる業種例
- クレジットカード業
- 賃金業
- 保険業
- 集金、取立業
- 競輪、競馬関係
- パチンコホール関係
- ソープランドなど風俗業
- 福祉関連
金融関係、公序良俗に反するもの、投機的事業(ギャンブルなど)が対象外です。
福祉関連は、他に助成制度や補助金があるため融資対象から外されています。
事業名 | 融資対象者 |
---|---|
国民生活事業 | 小規模事業者 個人事業主 |
中小企業事業 | 中小企業 |
農林水産事業 | 農林漁業・国産農林水産物の取り扱いがある加工流通分野 |
該当しそうな人は、商工会議所ではなく日本政策金融公庫に問い合わせてみましょう。
さらに商工会議所が定めている以下2つの条件をクリアできないと、マル経融資は借りられません。
- 最近1年以上、申込先の商工会議所地区内で事業を行っている
- 商工会や商工会議所の経営指導を6か月以上受けている
少なくとも起業して1年以上は経過していなければ、マル経融資は対象外となります。
商工会議所の指導員から、6か月以上にわたり経営の指導やアドバイスを受けた実績も必要です。
多くの商工会議所では入会を必須条件としていませんが、指導を受けて推薦してもらえる関係性を築けるかが最重要。
融資を行うのが政府系の金融機関である日本政策金融公庫のため、「税金の完納」も条件です。
起業資金はマル経融資対象外!創業融資を検討しよう
マル経融資はすでに1年以上事業を行っている人・企業が対象のため、起業資金としては利用できません。
これから起業する人や、起業1年以内の人は日本政策金融公庫の創業融資に申し込みましょう。
「新規開業資金」と「新創業融資制度」の組み合わせで、マル経融資に近い条件が実現可能です。
新規開業資金 | 新創業融資制度 | |
---|---|---|
概要 | 幅広く創業支援を行う融資制度 | ・各融資制度のオプションで、対象者が組み合わせて利用できる ・無担保、無保証人で融資が受けられる |
利用対象者 | ・新規で事業を始める人 ・事業を始めてから7年以内の人 |
・新規で事業を始める人 ・事業開始後、税務申告を2期終えていない人 ※新規で事業を始める人、税務申告1期を終えていない人は創業資金の10分の1の自己資金が確認できる人 |
金利 | ・一般:1.98~2.95% ・女性または35歳未満か55歳以上の人、中小会計を適用する人:1.58~2.55% |
– |
融資限度額 | 7,200万円(運転資金は4,800万円まで) | 3,000万円(運転資金は1,500万円まで) |
資金用途 | 事業の運転資金、必要な設備資金 |
資金用途は設備投資から従業員のボーナスもOK!借り換えはNG
マル経融資の資金用途として認められているのは、事業の「運転資金」と「設備資金」です。
運転資金は、従業員の給与やテナントの家賃も対象。
売上が不安定になりがちな小規模事業者でも、マル経融資の活用で安定的な経営を目指せます。
資金用途の具体例は以下の通りです。
運転資金 (返済期間7年以内・据置期間1年以内) |
設備資金 (返済期間10年以内・据置期間2年以内) |
---|---|
・従業員の給与、賞与(人件費) ・テナントの家賃 ・ホームページ開設 ・チラシなど広告宣伝費 ・外注費 ・商品の仕入代金 ・事業所で使う消耗品費 ・買掛金、手形決済資金 |
・店舗の改装費 ・新店舗の出店準備 ・営業車や重機の購入費 ・パソコンやコピー機など事務機器 ・各種製造機械 ・空調設備 ・机、テーブルなど備品 |
運転資金は継続して必要な資金、設備資金は単発・高単価な資金と考えると分かりやすいです。
項目を分けるのは、融資期間が異なるため。
運転資金は7年以内、高額になりがちな設備資金は10年以内の完済計画を立てます。
据置期間は借入直後の負担を減らすがデメリットもある
据置期間とは、毎月の支払いは利息のみでもいいとする期間です。
大型の設備投資に見合った利益は、設備導入後すぐには見込めません。
一時的に経営が苦しい状態をV字回復させるのも現実的ではないでしょう。
利益が回復するまでの間、措置期間を利用して返済の負担を最小限にできます。
ただし返済期限は伸びないため、例えば設備資金で措置期間を2年とると、残りの8年で完済しなければなりません。
措置期間終了後に、負担が増えるデメリットもある点に注意が必要です。
マル経融資は借り換え・生活費への利用ができない
マル経融資では、以下の2つは資金用途として認められていません。
- 生活費
- すでにある借入金の借り換え
マル経融資を含め、事業性融資の資金用途は事業に関わる資金のみに利用できます。
生活費が足りずお金を借りたいときは、以下の3つの方法を検討しましょう。
- 生活福祉貸付制度(社会福祉協議会による貸付制度)
- 銀行や消費者金融のカードローン
- 不動産担保ローン
すでにある借入金が前事業の負債であれば、日本政策金融公庫の「再挑戦支援金」を利用できる可能性があります。
再挑戦支援金は「新規開業資金」のうちの一つ。
- 一度廃業を経験
- 新事業に再挑戦したい人、または再起業から7年以内
上記に当てはまる人向けの融資制度です。
資金用途に前事業の負債も含まれるので、借り換えしたい人に向いています。
前事業の負債が原因でマル経融資の利用・審査が不安な人は、再挑戦支援金の利用も検討しましょう。
マル経融資最大のメリットは貸付条件!担保なし1.20%の低金利で2,000万円まで可能
マル経融資が経営者から注目を集める最大の理由が、貸付条件の良さです。
貸付条件 | |
---|---|
限度額 | 最大2,000万円まで |
金利 | 年1.20% ※2023年12月現在 |
保証人 | 不要 |
担保 | 不要 |
返済期間 | 運転資金:7年以内(84か月) |
設備資金:10年以内(120か月) | |
審査期間 | 1~2か月程度 |
資金力が不安定な小規模企業や個人事業主でも、最大2,000万円の融資実現が可能です。
何より年1.20%の低金利は最大の魅力。
利息の負担が少ないため、利益率のアップに直結します。
マル経融資は、借り入れが多額になるほど探すのが難しい保証人も不要です。
日常業務や融資を受けるための書類作成に集中できます。
審査には時間がかかる
貸付条件はいいものの、審査に時間がかかります。
- 商工会議所で推薦できるか審査
- 日本政策金融公庫で融資できるか審査
2段階で審査が行われるため、申し込みから少なくとも1か月、長いと2か月は必要です。
「間近に迫る支払いに充てたい」「設備の急な故障で急ぎ資金が必要」など、急ぎの融資には対応できません。
急ぐ場合、金利は高くなりますが貸金業者のビジネスローンを利用しましょう。
貸金業者のビジネスローンは、最短で当日融資とスピーディーです。
マル経融資の低金利はどれだけお得?他の借入方法と比較
マル経融資の金利だけを見ても、他での借り入れとどれほど差が出るのか分かりにくいです。
他の事業資金借入方法と比較して、500万円借入・5年返済の場合で利息差がどれほどになるのか確認します。
比較する金利
- マル経融資:1.20%
- 日本政策金融公庫 一般貸付(最高金利):2.95%
- 銀行の事業性融資(横浜銀行ビジネスフリーローンを参考):8.0%
- 貸金業者の最高金利:15.0%
金利 | 毎月返済額(マル経融資との差額) | 返済総額(マル経融資との差額) |
---|---|---|
1.20% | 85,899円 | 5,153,940円 |
2.95% | 89,732円(+3,833円) | 5,383,914円(+229,974円) |
8.0% | 99,005円(+13,106円) | 5,940,338円(+786,398円) |
15.0% | 118,949円(+33,050円) | 7,136,958円(+1,983,018円) |
金利が約1.8%増えただけでも、毎月負担は約4,000円プラス、返済総額では約24万円増えます。
融資スピードがメリットの貸金業者では、最高金利が適用されると大幅な負担増に。
毎月の返済額も多額なため、追加返済の余裕が作りにくいです。
融資が必要な時期まで余裕があるなら、マル経融資は最優先候補にしましょう。
必要書類の準備は早めが肝心!種類が多いのでミスに注意
マル経融資に申し込む際、必要書類は数種類に及びます。
自分で作成が必要な書類もあるため、時間に余裕を持って準備しましょう。
書類の内容は、法人か個人事業主かで変わります。
法人 | 個人事業主 |
---|---|
・前期・前々期の決算書および確定申告書 ・決算後6か月以上経過の場合、最近の残高試算表 ・納税証明書または領収書(法人税、事業税、住民税など) ・会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書) |
・前年、前々年の青(白)色決算書及び確定申告書の控え ・納税証明書 税金の領収書又は納税証明書(所得税・事業税・住民税など) |
(共通) ・設備資金を申し込む場合、見積書、カタログ ・不動産を持っている新規申込者の場合、不動産謄本(全部事項証明書) ・1,500万円以上の融資を受ける場合、事業計画書が必須 |
上記は最低限必要な書類で、他にも書類を求められる可能性があります。
書類を再度用意する手間がかからないよう、必ず最新の書類を揃えましょう。
登記簿謄本にはいくつか種類がある中で、必要なのは「履歴事項全部証明書」です。
返済計画書や、1,500万円を超えない希望額でも事業計画書が必要なケースも。
特に求められなくても、具体的な返済や事業の計画書が作ってあれば、審査でも好印象につながります。
売上予測や経費、返済額など計算ミスがないよう再確認は必須です。
経営指導の際商工会議所や担当指導員と良好な関係性を持つ
マル経融資は、申込前に6か月以上の経営指導を受けなければなりません。
指導を通して「よくない経営状態を改善できるか」「今後企業が成長できるかどうか」を判断します。
指導員は実際に事業所や店舗に出向き、具体的なアドバイスで経営をサポートしてくれる存在。
経営指導専門なので、ただ審査のために来るだけでなく改善点を的確に指摘してくれます。
ただし、否定的に応対していると印象は悪くなる一方です。
- 価値観が違うと頭からアドバイスを否定する
- 自分のやり方で挑戦したいから指摘は受け入れない
融資を希望する立場では、上記の行動はマイナス評価にしかなりません。
アドバイスは素直に受け止め、自分の考えと違うならどう解決すべきか積極的に相談しましょう。
待つばかりでなく、自分から経営に関する悩みや質問を投げかけるのも、前向きな姿勢が見えて好印象です。
商工会議所開催のイベントやセミナーも、自分に関係がありそうなら積極的に参加してください。
資金の利用目的を明確にして事業に具体性を持たせる
借りたお金をどこに・どれだけ利用するのか明確だと、融資金が有効に活用できると判断されて審査で有利です。
例えば、運転資金として人件費○○万円と書かれていても、本当にこれだけ必要なのかは分かりません。
従業員への給与はいくらか、技術者を外注するなら見積書も用意するなど、実際の支出に近い状態が分かる書類を用意しましょう。
設備資金の場合、カタログや見積書が必要書類に含まれています。
忘れず提出するのはもちろんですが、カタログがあるなら経営指導員に選び方を相談しましょう。
設備を本当に必要としているのが伝わり、どれだけのお金が必要なのかも合わせて判断してもらえます。
返済計画書を提出して資金繰りの見通しがたっていると示す
必要書類ではありませんが、返済計画書の提出も資金管理能力や返済能力を示すのに有効です。
返済計画書には、一般的に以下の項目を記載します。
- 借入額
- 返済年月日
- 返済回数
- 毎月の返済額
- 借入残高
何年で返済予定なのか、毎月いくら返済するのか予定が立っていると計画性があると評価されます。
さらに毎月の収入見込み額や必要経費、返済額を記入した収支計画書も、返済能力の審査に役立ちます。
毎月の運転資金に返済が加わっても、経営状態が安定する見込みと分かれば貸し倒れリスクは少ないと判断されやすいです。
融資したいと思ってもらう為に自社の強みや展望について自信を持ってアピールする
融資したいと思ってもらうには、事業の魅力や将来性のアピールは欠かせません。
自社にしかない強み、受賞歴、これまでの事業例などプラスになる要素はどんどん伝えましょう。
融資があれば何が実現するのか、具体的な目的や展望もあわせて必要です。
面談の機会を利用したり、資料を作って必要書類と一緒に提出したり自分から積極的に動いてください。
口頭で説明する場合は、自信を持ってプレゼンすると融資する側は安心できます。
審査で特に重要な決算書・確定申告書は3期以上あると経営の安定性を評価されやすい
決算書や確定申告書は前期・前々期まで用意するとしていますが、資料が多いと経営状態を判断しやすいです。
もし用意できるなら、決算書や確定申告書を3期以上用意しましょう。
書類が3期以上あれば、企業の成長具合や経営の安定性が評価できます。
特に現在はコロナ禍の影響を受けている企業も多数。
コロナ以前、どのような経営状態だったか知るのにも役立ちます。
今一時的に利益が落ち込んでいる状態でも、過去に安定して利益を出していた実績があればプラス要素に。
長い目で見れば、経営改善の見込みがあると判断材料にできるからです。
決算書や確定申告書は審査において特に重要な資料となるため、積極的に提出しましょう。
赤字決算なら改善の見込みがあると判断できる事業計画書を用意
マル経融資では、現在の赤字よりも今後の改善見込みが重要視されます。
経営指導員からのアドバイスも積極的に取り入れて、融資をもとに経営が改善できる見通しだとアピールしましょう。
事業計画書を作成すれば、より具体的で実現の可能性があると評価できます。
赤字状態が長引くほど審査は厳しくなるため、より綿密な事業計画書の作成が重要です。
事業計画書は、希望額1,500万円以下の融資なら原則必要ありません。
希望額によらず用意した方が、具体的に事業の将来性も分かってプラスにはたらきます。
マル経融資で審査落ちする原因は?個人の借り入れが原因の場合もある
マル経融資は、個人の借り入れや返済履歴が原因で審査落ちするケースがあります。
マル経融資の審査で見られるのは、大きく分けると事業の改善・成長見込みと個人の金融取引情報の2種類。
どれも条件を満たしていないと、融資は受けられません。
審査落ちの原因をさらに細かく5つに分けました。
- 返済遅延・滞納歴がある
- カードローンの借り入れが多い
- 税金未納
- 商工会議所での態度が悪い
- 事業計画の見通しが甘い
個人事業主や法人代表者の信用情報に傷があると審査は厳しくなる
マル経融資では、日本政策金融公庫の融資審査で代表者の信用情報照会が行われます。
公庫が加盟する個人信用情報機関及び同機関と提携する個人信用情報機関にお客さま
の個人情報が登録されている場合には、公庫がそれを与信取引上の判断(返済能力の調査または転居先の調査をいいます。ただし、返済能力に関する情報については返済能力の調査の目的に限ります。)のために利用すること。
引用元:日本政策金融公庫
信用情報とは、これまでの金融取引情報をまとめたもの。
日本政策金融公庫では、信用情報機関のCICと全国銀行個人信用情報センターから情報を得ています。
例えば以下が信用情報の一例です。
- クレジットカードの支払い情報
- 住宅ローンやカーローンの返済状況
- カードローン利用履歴
- 携帯電話本体代金の毎月分割払いの支払い状況
- 奨学金返済状況
もし指定の期日までに支払われないと返済の遅れが記録され、信用情報に傷がある状態となります。
CICでは61日、または3か月以上の延滞があるとステータスが「異動」に。
少なくとも、個人向けクレジットカードやローンの契約は極めて難しい状態です。
信用情報に傷がある代表者だと、融資する側は以下の不安を感じます。
- 返済期日を守らない、信用できない人物が代表で大丈夫なのか
- 資金管理能力が低く、融資をしても活用できないのでは
- 融資額に対して返済能力が不足している
事業を行うのは代表者のため、信用情報が審査に与える影響は避けられません。
延滞情報が残るのは、最大で5年間です。
個人の信用情報だけでなく、企業として不渡りを出した場合も同じく5年間情報が残ります。
もし、過去5年で頻繁に支払いが遅れたり、長期延滞をした経験があるなら審査は厳しいと考えましょう。
ブラックリストも借りられる?審査通過も100%不可能ではない
日本政策金融公庫は、15年ほど前までは信用情報機関に加盟しておらず、情報照会を行っていませんでした。
「マル経融資は異動状態(ブラックリスト)でも借りられる」と噂があるのは、加盟前に信用情報を確認しなかったのが原因です。
現在は、返済能力調査の1つとして信用情報を得ているため、傷がない人と比べれば審査通過は厳しくなります。
特に、全国銀行個人信用情報センターでは自己破産情報が最大10年と保管期限が長いです。
ただし、個人の借り入れと違い、事業内容など総合的な判断で審査通過できる可能性はあります。
カードローンやキャッシングの借り入れが多いと審査に影響する
使い道が原則自由なカードローンやキャッシングは、個人事業主なら事業費としても利用可能です。
借入残高が多額だったり借入件数が多かったりすると、すでに毎月の返済額が多いと予想できます。
さらにマル経融資で借りると、返済能力が不足すると判断されてしまう場合も。
特に借り入れ件数が多い人は、場当たり的な借り入れを増やしている印象も受け、審査に悪影響です。
日本政策金融公庫の審査までに、少しでも返済を進めて残高や件数を減らしましょう。
国の融資だから税金未納は審査に落ちる!納税漏れがない必ず確認
マル経融資の申込要項にもある通り、税金の完納は審査通過の絶対条件です。
納めるべき税金は以下のとおり。
法人 | 個人事業主 |
---|---|
・法人税 ・法人住民税 ・法人事業税 ・特別法人事業税 ・消費税 |
・所得税 ・住民税 ・消費税(課税売上高1,000万円超の場合) ・個人事業税(事業所得290万円超の場合) |
納税証明書や領収書の提出が求められるほか、日本政策金融公庫は国の機関のため隠し通せません。
納税漏れはもちろん、脱税行為は厳禁。
マル経融資の審査に落ちるだけでなく、追徴金や逮捕の可能性もあるため経理は的確に行いましょう。
態度が悪いと信用が得られず商工会議所から推薦してもらえない
マル経融資は、まずは商工会議所が「この人なら推薦できる」と考えてくれなければ審査に進みません。
推薦を受けるには事業の将来性や返済能力の有無に加え、代表者の人間性も重要です。
数字やデータだけではなく、商工会議所側が申込者に持つ印象も審査に大きな影響を持ちます。
見下した態度や反抗的な受け答えばかりでは、「経営は上手いかもしれないけどこの人は推薦したくない」と思われる可能性も。
審査は機械ではなく人間が行うので、融資をお願いする側は誠実な対応でいい印象が残るよう心がけましょう。
事業計画の見通しが甘いと融資しても返済できるか疑われる
事業計画において重要視されるのは、計画の実現性です。
例えば製造業で「借り入れして設備を刷新すれば利益を3倍にできます」と言われても、根拠が分からず説得力に欠けます。
3倍利益が出せると見込んだ返済計画書を作っても「見通しが甘いけれど本当に実現できるのか?」と、返済能力も疑われる結果に。
納税証明書や領収書の提出が求められるほか、日本政策金融公庫は国の機関のため隠し通せません。
納税漏れはもちろん、脱税行為は厳禁。
マル経融資の審査に落ちるだけでなく、追徴金や逮捕の可能性もあるため経理は的確に行いましょう。
態度が悪いと信用が得られず商工会議所から推薦してもらえない
マル経融資は、まずは商工会議所が「この人なら推薦できる」と考えてくれなければ審査に進みません。
推薦を受けるには事業の将来性や返済能力の有無に加え、代表者の人間性も重要です。
数字やデータだけではなく、商工会議所側が申込者に持つ印象も審査に大きな影響を持ちます。
見下した態度や反抗的な受け答えばかりでは、「経営は上手いかもしれないけどこの人は推薦したくない」と思われる可能性も。
審査は機械ではなく人間が行うので、融資をお願いする側は誠実な対応でいい印象が残るよう心がけましょう。
事業計画の見通しが甘いと融資しても返済できるか疑われる
事業計画において重要視されるのは、計画の実現性です。
例えば製造業で「借り入れして設備を刷新すれば利益を3倍にできます」と言われても、根拠が分からず説得力に欠けます。
3倍利益が出せると見込んだ返済計画書を作っても「見通しが甘いけれど本当に実現できるのか?」と、返済能力も疑われる結果に。
- 具体的にどれほど生産効率が上がるのか(時間あたりの生産数、稼働時間など)
- メンテナンス代や電気代など、運用コストの削減効果がどれほどか
- 上記の効果と現在の受注状況から、どの程度売上アップが見込めるのか
具体的な数字や利益が上げられるストーリーを説明できなければ、マル経融資の審査には通りにくいです。
どう計画を立てればいいか分からない場合は、経営指導員にどんどん質問してアドバイスを受けましょう。
マル経融資の申し込みから審査・融資までの流れを解説
マル経融資の審査は2回ありますが、申し込み自体は商工会議所に行う1回のみです。
商工会議所への相談から申し込み、融資までの流れを簡単に解説します。
1. 地域の商工会議所にマル経融資を利用したいと相談する
「事業を行っている地域名+商工会議所」で検索すると、自分が申し込める商工会議所の情報が出てきます。
突然行くのではなく、一度電話やメールで問い合わせてから相談に行きましょう。
相談の段階では、まだ必要書類はいりません。
事業や財務状況、融資の目的を具体的に説明できるよう準備が必要です。
2. 原則6か月以上、経営指導員から指導を受ける
初めて商工会議所と関わりを持った人なら、基本的に融資まで6か月はかかると考えておきましょう。
すでに会員として加入しており指導を受けているなら、審査期間を短縮できる可能性があります。
Q.商工会に加入してすぐにマル経融資を活用することができますか?
A.加入後(指導6ケ月)の要件がありますが、「濃密指導」をさせていただくことで要件をクリアし、すぐにマル経融資をご活用いただくことも可能です。
引用元:三芳町商工会
濃密指導とは1回あたりの指導時間を長くして、期間を短縮するものです。
3. 必要書類の準備して申し込み、商工会議所での推薦審査を受ける
指導期間が終わり、指導員が推薦できると判断すれば融資に必要な書類を揃えます。
書類に間違いや記載漏れがないか確認してから申し込みましょう。
商工会議所内での審査を無事通過すれば、日本政策金融公庫に融資の推薦が行われます。
4. 日本政策金融公庫での審査
日本政策金融公庫では、書類や推薦状、信用情報を総合的に審査して融資の可否を決定します。
日本政策金融公庫の審査にかかる時間は、個人・小規模企業の人で2週間が目安です。
Q4.借入申込をしてから、融資が決まるまでにどれくらいの日数がかかるのでしょうか。
A4.お申込みいただいた後は、迅速に対応させていただきます。ご融資が決まるまでの平均所要日数は2週間程度(土日、祝日を含む。)です。
引用元:日本政策金融公庫
5. 融資実行、返済開始
無事審査に通過できれば、融資金が指定口座に振り込まれます。
なお、借入残高が1,500万円以下になるまで半年ごとに経営指導員の訪問があり、返済状況の報告が必要です。
1,500万円超の融資を受ける場合は融資後、残高が1,500万円以下になるまで経営指導員の実地訪問を半年毎に受けていただき、進捗状況をお聞かせいただく必要があります。
引用元:大阪商工会議所
マル経融資の審査期間は約1か月!融資は相談から半年以上かかるのがデメリット
マル経融資の審査は、商工会議所と日本政策金融公庫で行うため1か月はかかると見ておきましょう。
商工会議所は金融機関ではなく、融資の審査がいつでもできるわけではありません。
日本政策金融公庫に推薦されてから審査完了までも2週間が目安です。
今から申し込みを考えている人は、審査に進む前に6か月の経営指導も必要。
商工会議所から推薦されるまでに長期間必要なので、初めての利用で急ぎの融資には向きません。
経営指導の期間が待てないなら日本政策金融公庫に直接申し込める融資を検討
長い経営指導期間がネックになるなら、日本政策金融公庫が用意しているマル経融資以外の融資を検討しましょう。
マル経融資ほど金利条件は良くありませんが、金利10%を超える民間のビジネスローンよりずっと低金利です。
日本政策金融公庫で、マル経融資と同じく個人事業主や小規模企業が対象となるのは「国民生活事業」の融資。
今回はほとんどの事業者が対象の「一般貸付」、外的要因で経営が悪化した事業者向けの「セーフティーネット貸付」を紹介します。
幅広い用途に利用できて金額上限も大きい一般貸付
貸付条件 | |
---|---|
限度額 | 運転資金・設備資金:最大4,700万円 特定設備資金:最大7,200万円 |
金利 | 担保なし:2.10%~3.30% 担保あり:1.10%~2.90% |
返済期間 | 運転資金:5年以内(必要なら7年以内、据置期間1年以内) 設備資金:10年以内(据置期間2年以内) 特定設備資金:20年以内(据置期間2年以内) |
一般貸付は創業年や年齢、業種の縛りなく利用できる融資制度です。
最大4,700万円まで融資可能なので、店舗の大規模修繕や高額な機器の入れ替えなどに利用できます。
特に限度額が高い特定設備資金は、外的要因でやむなく業種変更や店舗移転が必要になった際に利用可能です。
一時的な経営悪化を支援するセーフティーネット貸付
貸付条件 | |
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限度額 | 最大4,800万円 |
金利 | 担保なし:2.10%~3.30% ※災害貸付、東日本大震災復興特別貸付などを利用される方:1.10%~2.90% |
返済期間 | 運転資金:8年以内(据置期間3年以内) 設備資金:15年以内(据置期間3年以内) |
セーフティーネット貸付は、売上減少率など適用に様々な条件があります。
おおまかには「外的要因で経営環境が悪化している」「中長期的には回復する」の2点が要です。
損益を出していたり、売上減少が続いていたりすると民間の金融機関では審査が厳しくなります。
企業維持のため、緊急で必要な資金を融資するのがセーフティーネット貸付の目的。
一時的に資金繰りが悪くなっているなら早めに相談しましょう。
マル経融資の追加融資は審査時間短縮も可能!融資が受けられるかは業績次第
マル経融資の利用は一度きりではなく、追加融資にも対応しています。
すでに審査に通過して借り入れている実績があるため、追加融資の審査時間は約2週間程度と早いです。
急ぎで融資が必要なら、速やかに必要書類を揃えて相談に行きましょう。
ただし、追加融資の要望に必ず応えてくれるとは限りません。
最初の融資で売上改善が見込めない、返済が滞っているなどマイナス要因があれば追加融資を断られる場合もあります。
特に日本政策金融公庫の審査で断られると、他の融資も審査が厳しい可能性も高いです。
緊急時に備えたいなら小規模企業共済加入で審査なし貸付制度が利用できる
すぐに追加融資は必要なくても、もしもの時に備えておきたいなら小規模企業共済への加入しましょう。
小規模企業共済加入条件
従業員20名以下の企業の個人事業主、役員
※商業、宿泊・娯楽業を除くサービス業は5名以下
申込条件はマル経融資と同じで、共済の目的は廃業や退職時に向けた生活資金の積み立てです。
もしもの時に利用できる貸付制度は、掛金納付月数に応じて掛け金の7〜9割を限度額として借り入れできます。
掛け金が担保となっているため、申し込めば審査なしでスピーディーな融資に対応。
融資制度は複数あり、事業資金の借り入れには一般貸付が利用可能です。
一般貸付の貸付条件 | |
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限度額 | 10万円以上2,000万円以内(掛金納付月数により掛金の7~9割) |
金利 | 年1.5% |
返済期間 | 借入金額に応じて6か月〜60か月(5年) |
マル経融資よりもわずかに金利は高いですが、日本政策金融公庫の一般貸付よりは低金利になる可能性が高いです。
ある程度の積立期間・積立金がないと融資限度額も小さくなるため、早めに備えを始めましょう。